Neuroshoesは、使用者のセンサーモーターカップリングの学習や、クオリアを生成し他者へ転送したり、使用者とシステムの自律性を組み合わせることで新しい身体性を作り出すことをめざす Neurosuit プロジェクトの一部です。人工生命や、身体と意識といった観点から靴の新しい可能性を探索していきます。

この Neuroshoesのプロトタイプ には、足圧センサーやIMU、マイクなどのセンサー類、振動スピーカーなどのアクチュエータが組み込まれています。振動スピーカーで鳴らされる歩行音のテクスチャは歩行の際に生じる足の触感を生成することができます。例えば、オフィスの廊下が砂漠や雪山のような感触になったり、また、重厚感のあるロボットのような足音の場合は、自然と歩行が遅くなったり重さを感じるなど、足の触感を変えることでさまざまな知覚的な変化を生じさせることができます。

Neuroshoesのプロトタイプに搭載されているニューラルネットワークは、センサー入力から、使用者の歩行パターンの予測モデルを学習していきます。同時にその予測モデルでの予測誤差を報酬として、振動スピーカーから鳴らす歩行音のタイミングをずらすように Neuroshoes のアクション生成を学習していきます。これにより予測できないような歩行パターンが引き出されることが期待されます。このプロトタイプでは、習熟することで無意識に行うことができるようになった歩行という体験を、あえてずらして意識させることで、歩き始めたころのような新鮮な体験へと変化させることを試みました。

Neuroshoesのプロジェクトでは、今後もセンシングだけではなく、各種アクチュエーションを追加することで、使用者に生き生きとした体験をもたらすような新しい靴の可能性を探っていきます。