GPSやモバイル端末といった情報技術の普及と発展により、人々の行動情報が位置情報として取得可能になっています。これらの情報を都市計画分野に活用することで、都市空間の魅力的な要素を発見することができると考えられます。本プロジェクトは、東京大学建築学専攻Advanced Design Studies T-ADS) と筑波大学との共同研究で、街を訪れる人の移動行動情報を用いて、街の魅力といった都市の評価を定量的に行う手法の提案と評価実験を行いました。
実験では、自転車によりまちめぐりを行うイベントが T_ADS 主導のもと実施され、GPS を搭載したレンタサイクルを参加者に貸し出しました。参加者には、2時間30分という制限時間の中で、移動範囲も制限がなくグループ移動も可能で自由にまちめぐりをしてもらい、その後、アンケートに街の魅力に関するアンケートに回答してもらいました。GSP データをもとに、迂回度、方向変化度、滞在時間などを取り出して分析したところ、街の回遊性がアンケートにおける都市の関心度合いの変化に結びつくという傾向が見られました。
都市における人の振る舞い、都市から感じるものは、その都市のアフォーダンスであるといえます。ジェームズ・J・ギブソンらによって発展させられた生態学心理学によれば、人の知覚とは脳のなかでの計算ではなく、環境における情報の探索行為だといいます。都市から見つけ出された情報は GPS データとして取り出され埋め込まれていきます。それは第三人称的な情報であるとともに、第一人称的な情報でもあります。そこに、生命的な都市の捉え方(けっして客観的な視点のみでは語られない)ALife的な視点があります。
東京大学 : https://www.u-tokyo.ac.jp/
筑波大学 : https://www.tsukuba.ac.jp/
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