「ICC アニュアル 2022 生命的なものたち」にて新作『The view from nowhere』の展示がスタートしました。今回は9.1ch立体音響システムを設置した無響室内でヘッドマウントディスプレイを装着して体験する作品となっています。
“本作品は,ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)と9.1チャンネルの立体音響システムを用いて,現実には存在しない世界を無響室内に生み出すインスタレーションです.鑑賞者は,現実空間からシームレスに,仮想空間の超現実的な異空間を体験します.本作のタイトルは,1986年に出版された,哲学者トーマス・ネーゲル(Thomas NAGEL)による著書『どこでもないところからの眺め』のタイトルから引用されています.行為の主体性と客観性を止揚する「どこでもないところからの眺め」を体験者がいかにして獲得することが可能かを,VRと生成される音響環境によって試みます.本作は,体験者自身がこれまでの人生で培ってきた知覚と運動の関係性,これまでの経験(あるいは未来の予測)から生まれる記憶と「今」の関係性,の双方にズレを生じさせることで,一人称でも三人称でもない世界の見方,その視点へと近づくための装置です.作品中で聴こえる音と音の運動は,その大半がリアルタイムに生成されています.たとえば,体験者が見ている風景そのものが音に変換されたり,VR空間の目に見えないボイド(たくさんの群れの複雑な動きをシミュレーションしたもの)の飛行にともなって波のような音が生成されているなど,体験ごとに異なる生きた環境としての仮想空間が作られています.”
展覧会詳細はこちら。 https://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2022/icc-annual-2022-life-likeness/