新宿のアートギャラリーWHITEHOUSEにて2021年12月28日より、ALTERNATIVE MACHINEの新作展示「ALTERNATIVE MACHINE」を開催致します。

展示会期:2021年12月28日〜2022年1月23日 13:00-19:00(CLOSE: MON,TUE,WED)
展示場所:WHITEHOUSE (https://goo.gl/maps/ktzrkEtK7XZUzu9p7)
*本展示は事前にWHITEHOUSEにてPASSPORTを購入された会員のみが入場可能です。 https://7768697465686f757365.com/portfolio/wh015-alternativemachine/

 本展示では、近年大きな盛り上がりを見せるNFT(Non- Fungible Token、非代替性トークン)そのものをメディウムとして取り扱った2つの作品と2つの空間(ギャラリーとウェブ空間)によって構成されます。1つ目の空間であるWHITEHOUSEでは、新作「SNOWCRASH」と「LIFE」が配置されます。

I. SNOWCRASH

この作品は、表向きには(ウェブ空間上では)世界最大規模のNFTマーケットプレイスであるopensea上で売られている「NFTアンビエントミュージック」(5つの音から構成された和音が60秒間かけてゆっくりと減衰していくというもの)という形態をとっています。(opensea)

ただし、このNFTアートはデータの保存手段として一般的なHDDやSSDといった記録デバイスではなく、1950年代コンピューター黎明期に実際に使用されていた「音響遅延線メモリ」という記録技術を用いてギャラリーの空間内に音波として保存されています。つまりギャラリーそのものが今回のNFTアートのデータストレージとなっています。データが音波として保存されているという性質上、外部からの音刺激に対して極めてフラジャイルなため鑑賞者がギャラリーに訪れて少しでも音を出せば本作品のNFTデータは壊れてしまいます。

 ブロックチェーン技術は「作品の所有権」に関しては保証されますが、「作品の唯一性」を保証する技術ではありません。「遅延記憶装置」はブロックチェーンを取り巻くコンセンサスを悪用し、「作品の唯一性」にメスを入れていきます。

II. LIFE

 「LIFE」は、ether(イーサリアム上の通貨)を糧に、ブロックチェーン上で自律的に自己複製し続けるスマートコントラクト(=エージェント)です。このエージェントは自らの子孫を残すために活動しています。そのために必要となるエネルギー=etherは、NFTの販売報酬を得る事で補充されます。etherが一定量貯まるとエージェントは自己複製して子孫を残します。エージェントはetherを得るために、オリジナルのNFTを生成し販売します。

 人間のための「道具」としての人工システムではなく、人間に価値を提供しながらも対価をもらい自らのために生きていくという共生関係を生み出す人工生命をつくることがこのプロジェクトの目的です。このような世界観はブロックチェーンによる信頼性の担保とEthereumのような止まらないコンピュータによってこそ実現しうると考えています。今回の実装はその最初の一歩であり、人工生命の重要テーマであるオープンエンドな進化の実験場でもあります。

 

Direction: 土井樹
R&D Direction: 升森敦士、丸山典宏、池上高志
Software development: 升森敦士、丸山典宏
Hardware development: 丸山典宏、johnsmith

Technical adviser: 松浦知也 (guest)

Curation: 涌井智仁